2018年1月26日
第201回 高校無償化からの朝鮮学校排除に抗議する文科省前金曜行動
文科省前、車道に接する歩道には数か所の植え込みがある。
そのうち、地下鉄銀座線虎の門駅から階段を登ってきたところにある一区画は
異色で、大部分がベンケイソウ科の草本で埋め尽くされている。
メキシコマンネングサなどだが、千葉に住む国土交通省を定年退職された女性Nさんが
定期的に訪れて丹精されている。
金曜行動の時お会いすることが多いので、時折立ち話をする。
「今まで、国交省で道路計画などに携わってきましたが、植栽一つも満足に分かって
いなくてね。退職後の課題として、排気ガスの多い街路の植栽について考えてみようと思いまして」
と言いながら、持ってきた2リットル入りのペットボトルの水を草花に注いでいる。
そんな話を聞いてから、何気なく踏み入れることのあった道路わきの植栽に目が行くようになり、
そこで慈しみ育てられ、けなげに生きている草花を見過ごせなくなった。
金曜行動でたくさんの学生が集まって、熱く語っているときに、後ろの人たちが植栽に
踏み入れないかと気になってしまうのは、少し困る。
最寒の文科省前、午後3時30分、携帯スピーカーで、「声よ集まれ…」を流し、
「高校無償化から朝鮮学校除外についてお読みください」と自作のビラを配る。
ビル風が吹きすさび、首から下げたプラカードが翻って、それを直すのに再三ビラ撒きが中断される。
前回は、プラカードを鈴懸の木などに掛けてアピールしたのだが、旗めいて役に立たないので諦める。
集会にはまだ時間があるのだが、コート姿の女子学生が3人、階段口から出てきたので、
「ご苦労様」と浅田飴生姜のど飴を二つずつ渡す。
この日の防寒対策としては不十分な彼女たちの姿を見て、同じく自作のビラを撒いていた
崔鐘淑さんが、「そんな恰好で来ちゃダメじゃない。風邪引くわよ。まだ時間があるから、
階段下で時間をつぶしてなさい」と声をかける。
4時が近づき、ゼッケンとスピーカーを携えた背の高い男子学生が玄関前に到着して準備を始める。
ジャンパー姿の男子学生は、年寄りを凍えさせる寒さもなんのその、手袋もしないでマイクを調整する。
今日は、文学歴史学部と理工学部の有志連合ということだが、学生のほかに、
最近、日本人の新しい参加者が多くなってきた。継続の成果ということか。
学生のリーダーが集会開始の檄を飛ばし、シュプレヒコールに続いて「声よ集まれ」の歌が力強く流れる。続々と集まる学生のアピールの後、長谷川和男さんが学生たちに向かって話し出す。
元朝鮮学校校長李一満さん葬儀の報告だった。
葬儀帰りそのままの軽装では、いかに全国行脚敢行の和男さんであっても、この寒風には耐えられない。
涙交じりの鼻水を流しながらの一満さんへの感謝の言葉が語られる。
わたしの通う阿佐ヶ谷朝鮮学校で学校ボランティアをなさっている女性のお連れ合いであると後で聞いて、薄いながら関係のあった方だと知り、感慨を深くする。
東京朝鮮人強制連行真相調査団の事務局長を長くなさっていて、忘れられた朝鮮人強制動員の
真相発掘に貢献され、東京大空襲で被災した在日朝鮮人の問題などに取り組んだ方だという。
学習すべき課題をまた、一つ頂いた。
ベンケイソウの仲間は、世界に1400種近くあるのだそうだが、身近な「マンネングサ」の名の通り、過酷な環境に耐えて、栄養と水分を蓄え、ありとあらゆる場所で種の保存を継続する。
そして、「金のなる木」に代表されるような星のように小さな美しい花たちを見せてくれる。
学生たちは、文科省の冷たい壁と、日本社会に吹き荒れる差別に晒されながら、自らの中に、
ウリハッキョを栄えさせる力を培っている。
わたしの前に毅然と立ち並ぶその姿は、無償化実現に向かう途上の今も、輝く星のように花々を咲かせている。
(facebook Bさんの記事より)
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