「戦争法廃止」火曜日駅前スタンディング 第130回 JR青梅線小作駅

1月30日18:00~19:00 
「戦争法廃止」火曜日駅前スタンディング
第130回 JR青梅線小作駅
  東京郊外西多摩、青梅線小作駅前東口。

一週間前に降った雪は、まだ解けず、ロータリーの角々には、積み上げられた雪の山が

小さなピラミッドの姿で居座っている。

雪の融解熱で気温が冷やされるのか、気温の低さが雪を解かさないのか、とにかく、

足元から這い上がってくる冷気はなんとも疎ましい。


  6時から始めたビラ撒きの初っ端、エスカレーターから降りてきた40代の男性が

プラカードをのぞき込む。

「それ何?」という問いかけに、A3、2枚綴りのプラカードを見ながら、

「下が国境なき医師団、上がわたしのオリジナルメッセージ」と説明する。

「国境なき医師団の病院に爆弾が落とされたというニュース見たでしょう。

とにかく、どんな戦争も、戦争は良くないというメッセージですよ」と言うと、

「そんなこと言ったって、言うことは聞かない、ミサイルはぶち上げるって、

やくざみたいな国に、『銃より愛がいいんじゃない!』って、だめでしょう。

愛なんか通じる相手じゃないよ。ミサイルをちゃんと構えて降参しろって脅かすしかないんだよ」。

話してみると、わたしのしていることをやみくもに非難するというわけでもないが、

国民生活の貧しいこと、暴発寸前の指導部イメージなど朝鮮バッシングの基本的なアイテムは、

しっかり入っていて、それを前提とした論理建てで、9条改憲反対の運動を

夢」のようなものだと批評する。

労働者にやさしくない福祉や働き方改革など、弱者を救済しない政治政策など

について言及すると、「金をとれる奴は頭がいいんだよ。

俺たちは、頭が悪いから、仕方ないんだ。

俺だって、楽してがっぽがっぽ儲けたいよ」と、貧富の格差構造を肯定し、

むしろ自己責任論を展開する。

「でも、だれも戦争はしたくないでしょ」と言うと、

「戦争でも何でもやればいいんだ。戦争になれば、俺は、一番に特攻になるよ」と、

支離滅裂に宣う。

しかし、目は笑っている。

おちゃらかしているのか、本音なのかが確としてわからないのが癪だが、出口不明の蒟蒻問答を続ける。

 しかし、それは、わたしも彼も、世界に君臨する収奪国家日本国の国民であることに

安住していることの証左なのだろう。

午後に見てきた、「抗い」映画会の朝鮮人強制連行が胸に去来する。

「抗い」は、記録作家「林えいだい」についてのルポルタージュである。

福岡県筑豊の旧産炭地には、今もアリラン峠と呼ばれる場所がある。

そこは、かって日本に徴用された朝鮮人たちが炭鉱に向かうときに歩いた道である。

記録作家・林えいだいが、アリラン峠を歩く。

「林えいだいは、孤高の作家である。

筑豊にいて、ひとりこつこつと、あたかも暗闇で岩盤を穿つように、

日本の負の歴史をペンで切り拓いてきた。

炭鉱産業と朝鮮人労働、無告の民の戦争秘史、ひたすら聞き続けて46年。

その驚嘆すべき苦闘と持続の成果を、この映画が見事に実現した」と、

ルポライターの鎌田慧氏は紹介する。

肺がんに侵され83歳で亡くなるまでの徴用朝鮮人や朝鮮人特攻兵士への爪で

歴史を剥ぐようなアプローチに無知を恥じながら100分の放映時間を忘れた。

主催者である立川朝鮮学校を支える「ハムケを歌う会」の李和蓮さんが、

放映後、「徴用朝鮮人や慰安婦の問題を隠すような日韓合意を認めるわけにはいきません。

日本政府は、大使館前に設置された慰安婦像を非難していますが、むしろ、

日本の国会の前に設置し、歴史を忘れない縁(よすが)とすべきでしょう」と

厚顔無恥な日本政府へ提起する。
 過去の歴史や今の格差拡大、軍備拡張に触れても、本音なのかおふざけなのか、

朝鮮バッシングのフェイク情報を捲し立てる労働者とのやり取りに没入し、

20分ほどビラも撒かず話し込んでしまった。

しかし、口先だけの交流であったが、相手から話しかけてきて、笑顔で問答が

成立するということが、まずはありがたいことだ。

声をかけた時の昇降客の表情は、多岐に富んでいる。

それを見ながらビラを撒くわたしに、自分から手を出してビラをとってくれた男女高校生が

何人もいた。

まじめな顔でビラを受け取る仲間を包んで盛り上がりながら歩いていく高校生集団。

若者の心の奥底に流れる、繊細、敏感、真剣が、その振る舞いから伝わってくる。

 

(facebook Bさんの記事より)

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